「第三者からの情報取得手続」
Q&A
どんな制度ですか?
2019年5月に民事氏執行法が改正され、新設された制度です。
今までも、相手が養育費を滞納したときには、裁判所で作成される「調停調書」や「審判書」、あるいは公証役場で作成される公正証書を使って、相手の預貯金や給料などを差押えることができました。しかしその際、相手の口座や勤務先は、債権者が特定しなければならなかったので、相手の口座が何銀行のどこの支店にあるかや、勤務先がわからなければ、公正証書や調停証書があっても差押えはできませんでした。そこで、債権者が、これらの情報を取得しやすくするために新設されたのが「第三者からの情報取得手続き」です。
この制度を利用して裁判所に申し立てをすることで、
①市町村日本年金機構事務所から、相手の勤務先に関する情報を得る
②銀行に照会して、相手の口座に関する情報を得る
③証券保管振替機構に照会して、離婚相手の上場株式などの情報を得る
ことができるようになります。
ただし、①を利用する場合には、事前に債務者に対して、「財産開示手続き」をしておくことが必要になります。
勤務先や銀行口座がわかると何ができますか?
未払いの養育費がある場合、裁判所に申立をして、給与や預貯金を差し押さえることが可能になります。
預貯金の差押えがしやすくなるのは何故?
預貯金の差押えの申立をするには、相手が何銀行のどこ支店に口座を保有しているかを、申立側が特定する必要がありますが、覚えていなかったり、相手が新しい口座を開設している場合、今までは、特定は非常に困難でした。しかし、この制度では、裁判所から各銀行の本店に情報提供を命じて、口座のある支店名など、差し押さえに必要となる情報を回答してもらえるようになりました。
本店名もからない時は、みおの弁護士にご相談ください。
公正証書、調停調書、審判書などがなくても、養育費の取り決めをしていなくても、「財産開示手続」や「第三者からの情報取得手続き」は利用できますか?
この制度を利用するには、下記のいずれかの書類が必要です。
・公正証書(強制執行認諾条項付)・調停調書・審判書・和解調書・認諾調書・判決書
養育費の取り決めをしていない場合はもちろん、口約束や当事者間での合意書では利用できませんので、弁護士にご相談ください。